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存在と無常の哲学的形象:西洋哲学と日本思想の比較分析によるモードと建築の造形実践

存在と無常という二項対立を基盤としながら、「モード(mode)」と「建築(architecture)」 という二つの造形領域を横断的に思考・制作することにより、その造形的統合と思想的可視化を目指す。本コレクティブにおける「モード」とは、ドイツ語のファッション(mode)と、英語の様態(mode) の双方を包含し、個別の身体を媒介とした、一時的かつ現象的な「実存の様態」を指す。一方、「建築」 は、物質性と時間性を内包する構造物であり、長い時間軸の中で風化・変化・解体・再生を繰り返す「無常の象徴」として捉える。これら二つの造形領域を、西洋哲学(構造主義・ポスト構造主義・現象学)および日本思想(無常観)との比較分析の中で位置づけ、両者の思考モデルを往還しながら、身体的・空間的に存在と無常の形象化を目指す。━━ Miku Kawai

  1. モードは、実存的メディアであり、存在の様態(mode)を造形化するものである。
  2. 建築は無常の象徴である。
  3. 両者の造形的対比と統合を通して、存在と無常の螺旋的な関係性を可視化する。

自身の制作の出発点には、他者との比較によって自己を捉える相対的自己認識から、死という事象を契機に自己の存在に向き合う絶対的自己認識への転換があった。祖父の死をきっかけに、社会的記号や数値による評価ではなく、自らの生を身体感覚として認識する必要を痛感する。その後、荒川修作・マドリン・ギンズによる奈義町現代美術館を体験し、建築する身体という荒川による身体・建築論に強い感銘を受け、現在に至る。